今回は、暮らしの道具が描かれた素敵なキリムをご紹介。
何が好きって、雄々しい雄山羊の角のモチーフに挟まれた中央部に、水差しが描かれているところ。暮らしの道具って、モチーフにすると、なんだかとっても愛らしかったりします。
四隅には底の平べったい水差し。こちらは、食事の時に食卓(遊牧民や村落の生活なら食布かも)で飲み物を供するのに使うタイプって感じですね。
シマシマ模様が可愛いです。
中央部の水差しはどんな用途に使うのでしょうか。
紀元前から西アジアでは、ビールやワインがつくられていたそうで、南レヴァント(レヴァントは東部地中海沿岸地方の歴史的な名称だそう)では、ワインを入れるのに使われていたのではないかと思われる水差し型の土器が多数出土しているそうですが、その形にもよく似ています。
まあ、水差しの形としてはよくあるものですし、現在はワインのために使われているということはあまりなさそうですね。
さらに、中央部の水差しの両側には、両手付きの壺が四つ。
壺が可愛いねという話をしていたら、「(イランに住む)トルコ系の人々は、こういう壺にチーズとハーブとスパイスを入れて、しばらく土に埋めておくんだよ。そうすると、とっても風味豊かなチーズになる。一度食べたけど、あれは美味しかったなあ」とのこと。
そもそも梅干しなども、陶器の壺で漬けたものは格段に美味しいそうですが、最近は、昔ながらの梅干し保存用の国産の壺はもうほとんど見つからないと、知り合いの方が嘆いていました。
ホームセンターなどで売られている輸入ものは、見た目は似ていても、昔ながらの技で作られた日本製のものとは比べようもなく、昔ながらの梅干しの味にはならない。でも、もう国内では壺の作り手がほとんどいないらしいとのことです。
本当に残念なことですが、消費者が意識して良いモノを使い続けていこうというふうに変わっていかないと、どうしても安価で手軽なものに流れて行って、つくるのに技と手間暇が必要な道具は消えていってしまう傾向なのかもしれません。
梅干しは今でも手軽に作れますが、国産の壺で作られていたものの味はもう滅多に味わうことができない。
道具って本当に大切なものだと思います。
わざわざ手間暇かかる織物に水差しや壺を描いた人は、暮らしの中の道具の大切さをよく分かっていて、道具への愛情と敬意を込めたのかもしれませんね。
便利さを手に入れると、気づかぬうちに、何か大切なものを失っている。それは必然なのかもしれませんが、残念なことでもあります。
両手付きの壺に入っているチーズはまだ残っているといいなと思います。
そんな暮らしの道具が愛らしく描かれている素敵なキリムの実物を、ぜひショップで、展示会場でご覧になってください。
Sirjan Suzani Kilim(Code:PKH63-51005)
シルジャンスザニ キリム
【サイズ】147×104㎝
【素 材】100%ウール
【染 料】天然草木染
【産 地】イラン・Kerman province
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幼いころから両親の故郷で手織り絨毯やキリムに親しんできた店主が来日して3年目に富山県でショップを開きました。
毎日の暮らしを大切にしている方々に、#古い日本家屋 を改装したこじんまりした空間で手織り絨毯やキリムの持つ豊さをご紹介できるのが、アリアナの喜びです。
手織り絨毯とキリムの専門店 アリアナ
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